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タイトル: H-7650透過電子顕微鏡を用いた電子線トモグラフィー
著者: 東嶺, 孝一
発行日: 2013-08
出版者: 北陸先端科学技術大学院大学技術サービス部
誌名: 国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学技術サービス部業務報告集 : 平成24年度
開始ページ: 63
終了ページ: 70
抄録: 透過電子顕微鏡法は、高速に加速した電子を試料に透過させることによって、その投影像を観察する手法であり、適切な薄さの試料を観察に用いることで、試料の内部構造を2次元の像として得ることができる。透過電子顕微鏡を用いて試料の3次元の構造の情報を得るための研究は、英国やドイツにおいて1960年代後半より開始され、米国においては1980年代、わが国でも1990年代に入ってから研究が行われてきており、2004年には日本顕微鏡学会誌である「顕微鏡」誌上で電子線トモグラフィーの特集が組まれている。電子線トモグラフィーとは、透過電子顕微鏡法において試料の内部構造を3次元的に得ることを可能にする手法である。例えば、医療分野におけるX線コンピュータートモグラフィー(CT)が、患者をあらゆる方向からX線撮影し、得られた投影写真をコンピューター処理することによって、患者の体内の様子を任意の断層面で映像化するなどして、3次元的に把握することを可能にする手法であるのと、基本的な原理は同様である。しかしX線CTと比較して、汎用計測システムとして電子線トモグラフィーを実用化するためには、ハード、ソフトの両面において課題が多く残されていたようである。2009年にJAISTナノマテリアルテクノロジーセンターに導入された日立ハイテク社製透過電子顕微鏡(TEM)H-7650には、電子線トモグラフィーによる3次元解析を可能にするコンピューターシステム(日立ハイテク社製EMIP3D)がLANで接続されており、試料ホルダーをプラス60°からマイナス60°まで傾斜させることによって得られる連続傾斜TEM像を取り込んでコンピューター処理することで、試料の3次元再構成像を得ることができる。TEM本体の制御用パソコンには、試料ホルダーを連続傾斜させてTEM像を自動取得するアプリケーションが組み込まれており、また、EMIP3Dには3次元再構成計算のために必要なアプリケーションの他、可視化および結果出力をするためのアプリケーションが含まれている。近年のコンピューター技術の進展の恩恵もあり、連続傾斜TEM 像の取得や3次元再構成像の計算は比較的迅速に行うことが可能となっている。今回は、このシステムを用いて電子線トモグラフィーを行い、炭素材料の3次元構造の観察を行ったのでそれについて報告する。炭素材料は、古くは1960年以前の人造黒鉛電極や活性炭等、また、1960年から1985年頃における種々の炭素繊維やダイヤモンドライクカーボン等、そして、1985年以降のフラーレン類やカーボンナノチューブ等のように、時代を経ても、さまざまな種類の炭素材料が開発されてきた。近年においても、燃料電池の触媒等、さまざまな材料について研究が行われており、炭素材料がどのような構造をしているかについて、ミクロスケール、ナノスケールで調べることは非常に重要である。今回は筆者が初めて電子線トモグラフィーに取り組むということもあり、比較的構造がよく知られているケッチェンブラックという炭素材料を試料として用いた。このような試料を用いて事前に予備実験を行うことで、今後予定されている新しい炭素系材料の電子線トモグラフィーを実施するために、適切なTEM観察条件を調べたり留意しておくべきことなどを洗い出したりしておくことができる。
URI: http://hdl.handle.net/10119/11906
資料タイプ: publisher
出現コレクション:平成24年度 (FY 2012)

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